2つの家族モデル

ステップファミリーの家族モデル

特徴の異なる2つの家族モデル
家族社会学者の菊地真理や野沢慎司は、調査研究に基づき、ステップファミリー には2つのタイプがあると指摘しています。

1つ目のモデルは「代替モデル/ スクラップ&ビルド型」と呼ばれます。子どもと同居する親は、いなくなったパートナーに代わって新しいパートナーを位置づけています。継親は実親に代わって実親のような役割を果たすことが期待されています。また、子どものもう一人の親は子どもの人生から姿を消すものと想定されます。

もう1つのモデルは「継続モデル/ 連鎖・拡張するネットワーク型」と名づけられています。別居している親も子どもの親としての役割を継続することが期待されます。したがって、継親は別居親に入れ替わるのではなく、親とは違った、おじさんやおばさん・友達のような存在となります。

欧米においては、長年にわたる制度改革によって「継続モデル/連鎖・拡張するネットワーク型」が多数派を占めるようになりました。一方、日本では現在も面会交流の実施率が低く、「代替モデル/スクラップ&ビルド型」が多数派であり続けているように見えます。

子どものもうひとりの実親との関係が失われる「代替モデル/ スクラップ&ビルド型」では、継親子間や実親子間の葛藤が高まり、子どもの適応が難しくなるリスクが指摘されています。「継続モデル/ 連鎖・拡張するネットワーク型」を積極的に取り入れる必要があります。

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SAJ・野沢慎司(編)/緒倉珠巳・野沢慎司・菊地真理(著),『ステップファミリーのきほんをまなぶ - 親の離婚・再婚と子どもたち』金剛出版, 2018年, 163-164 ページ.