初婚継父:はむぞうさんの場合

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プロフィール

お名前:  はむぞうさん
ステップファミリー歴:10年

ご家族の構成: 初婚の私(継父)、妻(配偶者と死別)、妻の連れ子(継子、男の子、当時9歳)、実子(男の子)2人。

経緯:妻とは1年の交際を経て結婚しました。お互い結婚を意識し始めてから、将来お父さんになる人、みたいな感じで連れ子に紹介してもらいました。連れ子との関係は当初から良好だったと思います。でも、ぼんやりとですが「本当の家族のように」振舞うことに心の奥底で「抵抗」があったと思います。セメントベビー※ができてから、その思いはますます強くなりました。そして、連れ子が大病を患い命の危険が迫った時期に、夫婦関係が危機的状況を迎えました。

※セメントベビー ステップファミリーに新たに誕生した子どものこと。2001年のSAJのセミナーにてセメントベビーと紹介し、インターネットを介して広まりましたが、「セメント」と言う言葉(絆を固める)への期待はかえって家族関係をギクシャクさせる場合もあることから、SAJでは現在積極的な紹介はしていません。今回は原文のまま紹介しております。この言葉は、ステップファミリーという言葉以上に浸透してる呼び方かもしれません。

ステップファミリーならではの経験、率直な実感を教えてください

 連れ子の父親になろうとすればするほど苦しかったです。妻の一番の望みは、実子と連れ子に平等に接することでした。でもどうがんばっても出来ませんでした。できなければ妻に責められる。そしてますます連れ子を疎ましく感じる。そんな負のループで、精神的に限界でした。ただ、妻からしてみれば、何も悪いことをしていない連れ子をなぜそんなに疎ましく感じるのか理解できなかったのだと思います。連れ子の立てる物音ひとつでイライラする、連れ子の入った後の湯船に入浴できない、家の中でなるべく顔を合わせないように避ける、といった行動をとっていましたし、妻が外部に連れ子を長男と紹介することや、公的書類の続柄に連れ子を「長男」と記載するのも辛かったです。

子どもたちへの説明はどんなふうに?その反応は? 

 実子2人には、連れ子や母親が、以前別の人と結婚していたことを未だに明かしていません。なんというか、私たち夫婦間ではその話題に触れることが自然とタブーになっている状態です。私は実子に、連れ子と私は血縁関係が無く、妻が再婚であることを説明するべきだと思っているのですが、連れ子のことで離婚寸前までいった経緯から、そういったことを夫婦で話し合うことに躊躇してしまいます。

パートナーとの関係に変化はありましたか? 

 連れ子が高校生くらいの時大病を患い、生活が連れ子中心になりました。その時、私は連れ子を、実子の未来や妻との時間を奪う存在としてしか見られなくなってしまいました。その前から実子と平等に扱えない、本当の家族と思えないといった悩みは抱えていましたが、彼の病気がその悩みを一気に加速させました。そうするとますます連れ子が疎ましくなる、それを見た妻は何とか連れ子と私の距離を近くさせ、平等に扱わせようとする。私はそれにこたえようとするけれども結局無理でますます距離を置く、といったループがひどくなっていき、ついには離婚寸前まで夫婦関係が悪化しました。当時は、もし連れ子が社会復帰できず、一生面倒を見なくてはならないのかと思うと気が狂いそうでした。

別居親・親族との関係や状況・思いを教えてください

 私の両親は子連れ再婚に理解があり、連れ子も自分の孫と同じように扱ってくれました。ただ、連れ子を疎ましく思う私の気持ちまでは中々理解できなかったようです。 死別した元旦那のご両親も理解があり、大変良くしていただいたのですが、結婚前に、再婚の報告?のため、妻と元旦那の墓参りに行かされた時はなんとなく嫌な気分でした。

周囲の理解やサポートはありましたか?

 苦しいとき、誰に相談しても連れ子を疎ましく思う気持ちは解決しませんでした。友人に正直に打ち明けてもドン引きされたり・・・。自分だけカウンセリングにも行きましたが、すっきりするのはその時だけでした。私に一番必要だったのはパートナーである妻の理解だったと思います。しかし、妻にステップファミリーの本を読んでほしいとか、自分の感じた連れ子への違和感・異物感や自分なりに勉強した連れ子を平等に扱えない理由とかを説明しても、全く受け入れてもらえず、あなたが悪い、の一点張りで本当に絶望しました。ですから、連れ子のことについては心を閉ざす、無視するしか自己防衛する術がなかったのです。そうでなければ、虐待などにも発展していたと思います。

これからステップファミリーになる人へのメッセージ・アドバイス

 現在、私は幸せですし家庭内も平穏、妻との関係、連れ子との関係も良好です。でも、子連れ再婚はお勧めしません、本当に。今幸せなのは連れ子の病気が緩解し、独立して別居しているからです。そして妻がほんの少し私の苦しみに気づいてくれたからです。私は運がよかっただけなのです。今でも妻の気づきがなかったらと思うとゾッとします。ステップファミリーについては自分だけわかっていてもダメで、継親・実親・連れ子(継子)の3者がそれを理解し、お互いが快適に過ごせる距離感を調整しないとやっていけないと思います。愛だけでは乗り越えられません。今思うと、私も妻も連れ子も「新しい家庭=初婚家庭モデル」という観念に縛られていたから無理が生じたのだと思います。結婚前にパートナーとステップファミリーについて予習してみればよかったなあと、いまさらながら強く感じています。


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