初婚継母:なちさんの場合

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プロフィール

お名前:  なちさん
ステップファミリー歴:20年

ご家族の構成: 初婚継母の私、夫は死別後再婚実父で年の差夫婦。継娘(成人)、実息子(中学生)。娘は結婚独立し3人のママに。私は50歳を前にして孫3人のばあば。

経緯:前妻と死別した夫とは同じ職場で、私の家族からの反対を乗り越え、交際2ヶ月半でスピード結婚。ちょうど中学生になりたての継娘とは仲良くスタートしたものの、ほどなく始まった反抗期の衝突に数年間悩みました。不妊治療の末、待望の実子を出産後、夫婦関係が悪化し、1年間の別居を経験。その後、復縁。娘とも和解し、孫たちの出産に立ち会いました。亡き前妻の家族とも交流があり、お墓と仏壇もあります。

ステップファミリーならではの経験、率直な実感を教えてください

 結婚後早めに養子縁組をしました。仲の良い関係でスタートしたつもりでしたが、娘の生活習慣が気になったり、反抗期がでてきたりした頃から関係性が悪化。そんな時に私たちをつないでくれたのは娘の部活でした。一緒に何かをすることで家族としての思い出を少しずつ増やしていきました。
 ところが、部活を卒業した高3以降に継親子関係も夫婦関係も最悪になり、私が追い出される形で別居。約1年の別居の間、すでに参加していたSAJの活動を通して自分自身に向き合いました。その後、夫からも復縁を希望され、成人した娘とも和解して、別居を解消。震災後娘が妊娠を機に結婚。母親として式に参列しました。娘の希望で孫たちの出産にも立ち会い、今の良い関係に感謝しかありません。自分の弱さを受け入れることで本当の意味で娘のことも受け入れられました。異母姉弟の関係も良好です。

子どもたちへの説明はどんなふうに?その反応は? 

 継娘に再婚にあたっての説明は特にしませんでしたが、娘を大切に思っている関係者にはこまめに顔を見せにいっていました。私が嫁いでくる際には、亡き前妻の遺品の整理も、娘の意見を尊重しながら行いました。その品物は今でも家にあります。セメントベビーである息子は物心つく前から一緒に仏壇を拝んでいたし、遺影が誰なのかも教えていたので、そこを悩むことはありませんでした。

※セメントベビー ステップファミリーに新たに誕生した子どものこと。2001年のSAJのセミナーにてセメントベビーと紹介し、インターネットを介して広まりましたが、「セメント」と言う言葉(絆を固める)への期待はかえって家族関係をギクシャクさせる場合もあることから、SAJでは現在積極的な紹介はしていません。今回は原文のまま紹介しております。この言葉は、ステップファミリーという言葉以上に浸透してる呼び方かもしれません。

パートナーとの関係に変化はありましたか? 

 最初は、初婚カップルのようなラブラブぶりでしたが、継母子関係が悪化してきてからは、夫が娘をかばうことが増え、夫自身が抱えている彼の家族の問題も表に出てきたりと、10年くらいはいろいろと苦労が絶えませんでした。別居を経て復縁した後は、娘も独立したことで継親子関係の葛藤がなくなり、夫婦関係も落ち着き、ステップならではの問題というより、初婚夫婦であれば良くみられる問題を改めて多少経験するようになりました。お互いが短所などに目をつぶることで無理に解決に向かわせないという、惚れた弱みだけで続いております。
 それから、結婚式を挙げたことは良かったです。娘の時にも気持ちよく式を用意してあげることができました。結婚式とハネムーンは、できることならしておくと心残りが一つ減らせると思います。

別居親・親族との関係や状況・思いを教えてください

 亡き前妻のご両親は健在でとても良い方で、再婚の際も心配する顔もせず、ごく自然に受け入れてくださいました。私たちの関係に口を出すこともいっさいなく、遠くから見守ってくださいました。季節のやりとりや法要など、親族として自然に交流しています。継娘のためにもまだまだ長生きしていただきたいです。

周囲の理解やサポートはありましたか?

 夫の親族とは夫自身が疎遠なので、今も関わりは薄いです。主に私の両親と妹が、継娘もひっくるめて支えてくれましたが、それは私のためにであって、夫と娘はそれぞれひとりで悩みと戦っていたのだと思います。
 私自身はSAJと出会ったことで客観的な情報と仲間同士の支え合いにとても助けられました。関係性を可視化するダイヤグラムは状況を整理することに役立ちましたし、ステップファミリーの発達段階には、とにかく時間がかかることを教わりました。SAJから情報を得ることで、自分の悩みは継母であれば誰もが悩むことだとわかりました。私にとって、SAJとの関わりの中で一番大きかったのは、「継母は、母親は、後妻はこうあるべき」という価値観を手放すことができたことでした。自分の不完全さを許し、娘の存在も受け入れることができました。また、夫や子どもの立場の感じ方も許容できるようになりました。

これからステップファミリーになる人へのメッセージ・アドバイス

 まず、事実をありのまま受け入れることだと思います。別れて暮らす実の親との関係や継親子であることを隠したりごまかしたりせず、大人も子どもも事実として共通認識を持つことが大切だと思います。
 周囲に対しても臆せず堂々として良いです。今はそれが受け入れられる世の中に変わってきました。
そして、自分だけでもいいから「情報」を得てください。夫婦で一緒には難しい人もいると思いますが、新しい知識を得ることは考え方や行動にも変化を与えます。夫婦関係にもそうです。
 子供はいずれ独立し、自分の居場所を新しく作っていきます。残るのは夫婦だけです。
 家族で一緒に過ごした思い出を増やしてください。お金をかけなくてもいいんです、なにか一緒の目標に向かうこと、共通の話題を持ち苦楽をともにすることは、あとあとの関係性の強い基礎となってくれます。

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